ン時間の差。ターン・アウト効果:25m〜45m区間のストローク局面の泳速度でターン・アウト局面を泳ぐ場合の時間とターン・アウト時間の差。
フィニッシュ効果:75m〜95m区間のストローク局面の泳速度でフィニッシュ局面を泳ぐ場合の時間とフィニッシュ時間の差。
2.3 データ処理法
競技記録から各局面目標値を推定する回帰式および目標値のレベルの選手が95%含まれる許容範囲を示す95%信頼限界を求めた。
回帰には、(1)式を用いた。
95%信頼限界7)の偏差(95%Δ)は(2)式を用いた。
スタート時間とスタート効果、ターン時間とターン効果、フィニッシュ時間とフィニッシュ効果の関係も同様の回帰式により検討した。
3. 競技記録に基づく局面目標値の設定
スタート、ターンおよびフィニッシュ局面の平均値、標準偏差、競技記録との相関係数に加え、各局面を競技記録から推定する直線回帰式の係数および95%Δを表1に示した。表中の傾きと切片を用い、目標値=傾き×競技記録+切片で算出できる。また、目標値のレベルの選手が95%含まれる許容範囲は、目標値±95%Δで得られる。これらを用いることにより、目標の設定ばかりでなく、技能評価にも利用できる。
競技記録と各局面時間には、いずれも明らかな比例関係(p<0.01)が見られた。また、パンパシフィック大会の結果で目標値の許容範囲からはずれた選手は、極わずかであった(男子35名×3局面105資料の棄却件数は5件、女子37名×3局面111資料の棄却件数は4件)。したがって、推定式は、日本選手権近傍水準の選手への適用に妥当であるといえる。
これらの回帰式から、100m背泳ぎにおける局面目標を設定すると、男子が55.0secを記録目標にする場合、スタートは6.86sec、ターンは7.87sec、そして、フィニッシュは2.74secと設定できる。同様に女子が61.0secを記録目標にすると、スタートは7.95sec、ターンは8.76sec、そして、フィニッシュは3.06secと設定できる。
競技記録と各局面時間の関係は、男子の結果を図2、女子の結果を図3に示した。
競技記録と各局面時間の相関より、個々の局面で全分散の1/3以上説明されることより、重要な要素であると考えられる。100m平泳ぎでも同様な結果6)が見られることから、1OOm種目の特徴であると思われる。
回帰係数の傾きが大きいことは、競技記録の向上に伴い、その重要性が増すことを意味し、傾き
表1 100m背泳ぎにおける競技記録とスタート、ターンおよびフィニッシュの関係
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